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【ビジネス交渉のコツ】気が弱い・口下手なあなたを強くする交渉術【戦術と心理テクニック編】

「交渉が苦手だ…」と思うあなたへ。

「交渉術」「説得術」は「話術」だ。
口が上手くなければ、達者でなければ、交渉はうまくならない。
口下手は、交渉に強くなれないと思っていませんか?

そんなことはありません。
「交渉術」は、心構えとポイントさえ押さえれば、強くなれます。

この記事では、2つの書籍を土台として参考にしながら、ビジネス交渉の現場での使える戦術と心理テクニックを紹介します。

 

「できる人」の話し方&交渉・説得術―なぜか、「仕事ができる人」の技術と習慣
絶対に負けない交渉術

【ビジネス交渉のコツ】準備編と実践編も併せてお読みください。

交渉に負けないための5つの戦術

ここでは、交渉中に心がけてほしい戦術をご紹介します。
この5つを抑えておくことで、「負けない」交渉を行うことができます。

(1)相手の発言を真に受けない

ビジネスの現場で、自分の思うことをそのまま相手にストレートに言うことが難しいのは、あなた自身、身をもって感じていると思います。

たとえば、あなたが、なにかの商品を営業マンに売られるとき。
その商品が、「良くない」「高い」と思っても、それをそのまま相手に言うのは難しいと思います。
むしろ「へ~これはいいですね~」なんて、本心と逆のことを口に出してしまいがちです。

それは相手も同じです。
ビジネスの現場で、相手が本心をストレートに口に出すことはほとんどありません。
なので、交渉でも、相手の発言をそのまま真に受けないで、相手の本心を見抜くように心がけましょう。

相手の本心を見抜くには、経験を重ねることが必要ですが、場の空気、相手の発する空気、温度感だけでも、なんとなくわかるものです。

たとえば、会社の採用面接で、面接官から「素晴らしい経歴をお持ちですね」なんて言われても、面接官の話し方、温度感、空気感で、それがお世辞か本心かは、なんとなくわかると思います。

交渉の現場でも、相手が自分にとって‘おいしい’条件を出してきたら、ちょっと立ち止まって考えましょう。
それは相手にとって、どんなメリットがあるのか?
相手が「自分が損する」だけの条件を出すなんてありえませんので。

相手の発言を真に受けて発言してると、交渉は相手の意のままになってしまいます。
それを防ぐため、ここでは、「相手の発言を真に受けない」ということだけ、心がけましよう。

(2)自分の状況を全て伝えない

自分の状況を全て相手に伝えるのは、‘人’として誠実でよいことですが、‘交渉’においては、自分を不利にする可能性があります。
交渉は、情報をたくさん持っている方が有利に運べるからです。
相手に伝えると、自分が不利になることは、言わないようにしましょう。

たとえば、プリンターの購入を例にしましょう。
プリンターの営業マンが、あなたのこんな情報を知っていたらどうでしょう?
「(あなたは)プリンターが壊れているので早急に購入しなければならない」
営業マンはあなたに時間がないことを知っていて、かつあなたが製品に興味を示していることが分かっていれば、クロージングをかけやすくなるでしょう。

この例では、あなたがプリンターの営業マンに、「プリンターが壊れているので早急に欲しい」という情報を相手に伝えてしまうと、自分が不利になってしまいます。
ですので、出さないで済む情報は、なるべく出さないようにしましょう。
情報を出すのは、追い込まれたときだけにしましょう。

どの情報を出して、どの情報を出さないかは、ケースバイケースだ。
判断に迷うこともあるだろう。
それまでの状況を考え抜いて、「ここは出さない」「ここは出す」と判断する。
あるいは、相手の顔色をうかがって「ここぞ」というときに出す。
~植田 統 (著)『絶対に負けない交渉術』

植田先生は、相手の情報を得るために、自分の不利な情報をあえて出すこともありだといいます。

うしても相手の情報を引き出したいときは、不利な要素も出そう。
~植田 統 (著)『絶対に負けない交渉術』

(3)「落としどころ」に縛られない

「落としどころ」とは、交渉の具体的目標=あなたが交渉で得たいいくつかの目標のことです。
たとえば何かの商品購入なら、金額、納期、支払い条件などです。

交渉は事前に、この具体的目標=「落としどころ」を決めておくわけですが、何が何でも具体的目標を達成させようと、「落としどころ」に縛られることは避けましょう。

なぜなら、交渉の現場では、状況が変わることが多々あるからです。
交渉の場で、相手の考えが変わることがあるかもしれません。
自分が事前に得た情報が、違っていることが分かるかもしれません。
現場で新しい情報を得るかもしれません。
そうなると、事前に設定した「落としどころ」の前提条件が変わります。

前提条件が変わってしまったら、その「落としどころ」は使えなくなり、修正せざるを得なくなるかもしれません。
交渉の現場では、状況に合わせて、臨機応変に対応していきましょう。

そうできるためには、事前準備のシミュレーションが大切です。
交渉の具体的目標=「落としどころ」をいくつか決めたうえで、「もしこれがダメだったら…」と妥協点、代替案=「別の落としどころ」も考えておきましょう。

それでも、交渉の現場では、予期せぬ状況が発生するかもしれません。
むしろ、自分の想定したことしか起こらないということはほとんどないと考えた方がよいでしょう。

植田先生は、次のような提案をされています。

【落としどころに縛られないための準備】

・落としどころを考える

・ほかの落としどころパターンもシミュレーションしておく

・実際の交渉の現場で状況が違えば、相手の状況がなぜ変わったのかを考える

・新しい情報をもとに、新しい落としどころを考える

相手がこだわっている、相手にとって重要なポイントや価値観が明確になれば、しめたものだ。

~植田 統 (著)『絶対に負けない交渉術』

たとえば、相手のこだわりが‘お金’であれば、商品のクオリティは多少落ちてもよいということが分かります。

では、相手のこだわり=重要なポイント/価値観はどうやったら分かるのか?
これは対話をきちんと行うことです。
自分が一方的に話して要求を通そうとするのではなく、相手にきちんと向き合い、会話し、質問して、相手の声に耳を傾けること。
Win-Winを目指すために、相手ときちんと話し合いましょう。

(4)話の裏を取る

真面目な人、いい人、素直な人は特に気を付けてほしいのが、「相手の発言は100パーセント真実とは限らない」ということです。
相手が意図的にをついているかもしれないし、適当に言っただけかもしれないし、情報が勘違いかもしれません。

【相手の話の裏を取る方法】
「それって本当なの?」と常に疑問を持ち、裏を取るクセをつける
~植田 統 (著)『絶対に負けない交渉術』

話の裏を取る方法は3つあります。

相手の話の裏を取る方法】
1. 直接相手に質問して確認する
2.客観的に「考える」「見る」
3.第3者に聞く
~植田 統 (著)『絶対に負けない交渉術』

話の裏を取る方法3つをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

  1. 直接相手に質問して確認する
    交渉中に分からないことが出てきたら、相手にストレートに質問しましょう。
    その情報はもしかしたら、相手が、ハッタリをかましているだけかもしれません。
    たとえば、
    「この商品の先月の売上は約1千万円です」
    と相手が言ったとします。
    それに対して、
    「1千万円ですか。何個くらい売れたんですか?」
    と質問して、答えがすぐに返ってこなければ、その情報は疑わしいです。
    価格を把握していれば、売上を管理チェックしていれば、個数はすぐに出てくるはずです。
    可能であれば、客観的データの資料などを出してもらい、裏を取りましょう。※一般知識なども、分からないことはちゃんと聞こう専門用語など、業界の一般知識、常識でも、分からないことが出てきたら、相手にちゃんと質問しましょう。
    これをできない人は案外多いはず。
    相手に「こんなことも知らないの?」「バカなの?」など思われそうと考えてしまうからです。
    自分の知識のなさを露呈するようで、相手になめられそうとか、相手を有利にしそうとか考えてしまうかもしれませんが、交渉の現場で、そのような自尊心は捨てましょう。
    分からないことを分からないまま交渉を進めて、後々困るようになるのは自分自身ですから。
  2. 客観的に「考える」「見る」
    たとえば、相手が「訴訟を起こす」「損害賠償を請求する」などと脅しをかけてきたとき。
    それは法的に可能なのか、客観的視点から、冷静になって考えてみましょう。
    自分たち当事者の状況と感情にとらわれるのではなく、法律や市場データなど社会的視点から裏を取るようにしましょう。
  3. 第3者に聞く
    2の「法律や市場データなど社会的視点」と同じく、「第3者」という客観的視点も入れて、裏を取るようにしましょう。

(5)録音する

できれば、スマホでシレっと録音することをおすすめします。
スマホであれば、画面を消したまま録音可能だし、机の上に置いていても、違和感ないと思います。
(電話がかかってこないよう、機内モードなどで通信を切っておきましょう。)

交渉中は冷静を心がけていても、現場では熱くなったり、ビビッてしまったりと、冷静な判断ができなくなったり、頭が回らなかったりするかもしれません。

録音して、後から聞き直すことで、相手の発言の論理がおかしかったり、法的根拠がないことが分かったりすることがあります。
「なんでここを突っ込まなかったんだろう?」
「なんでここを質問しなかったんだろう?」
などと。

現場では聞き流したけど、「ここ大事じゃん」と思うことがあります。
発言を聞き流していて、覚えていないことが分かったりします。
自分の発言に対して「こんな言い方じゃない方がいい」と気付いたりします。

冷静になって、客観的に見れる(聞ける)ので、後から新しいアイデアが浮かんだり、新たな作戦が思いついたりすることがあります。

交渉は1回でなく、複数回にわたることがほとんどなので、録音データは、次回の交渉をよりよく進めるとても有意義なツールとなります。

また、もし訴訟事になった場合、証拠として利用できます。

さらに、自分の声、話し方も確認できて、今後の自分のためにも役立つというオマケ付きなので、ぜひ録音することをおすすめします。

交渉に強くなるための5つの基本心理テクニック

「負けない」ための戦術に続き、ここでは、交渉を「有利」に進めるための心理的テクニックをご紹介します。
相手に「勝つ」のではなく、「有利」です。
交渉の大前提は、Win-Winですが、相手も同じWin-Winを目指しているとは限りません。
それに負けないために、ここを押さえておきましょう。

(1)最初に条件を提示する~アンカリングの法則

交渉では、先に自分の望む条件を提示した方が、有利に運べます。
なぜなら、その最初に提示した条件が基準となって交渉が進むからです。
これは心理学の世界で、「アンカリングの法則」と呼ばれています。

アンカリングとは認知バイアスの一種であり、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のことをさす。Wikipedia

たとえば給与交渉で、最初にあなたの希望金額を提示すれば、それが基準になって交渉が進みます。
最初に金額を高めに設定すれば、相手にとってそれが基準になり、その基準より下げた金額を提示されても、あなたの給与が高くなる可能性が高まります。
逆に、低めに設定すれば、その低い金額から始まるので、あなたの給与は低くなる可能性が高まります。

(2)最初の要求は大きく~ドア・イン・ザ・フェイス

(1)の「最初に条件を提示する~アンカリングの法則」とつながるものです。
あえて最初に、断られることを想定した要求を出し、断られた後に要求を小さくしていき、本来の小さな要求を通そうとするテクニックです。
これを、ドア・イン・ザ・フェイスといいます。
ドア・イン・ザ・フェイスとは、訪問販売のセールスマンが、相手が玄関のドアを開けたとたんに顔をつっこむということを表し、相手にとっては不快極まりない行動なので、最初からあえて断られる体の言葉、動作をかけるという意味になります。

「交渉は不可能から出発せよ」が原則です。
~箱田 忠昭 (著)『「できる人」の話し方&交渉・説得術』

さきほどの給与交渉の例のとおり、最初に大きな金額を提示すると、アンカリングの法則が働き、その大きな金額が基準になって交渉が始まります。

ただし、あまりにも現実から離れた数字を提示すると、相手は引いてしまいますので、自分が予想する現実的な数字を基準に、非現実に少しだけ入る数字を提示するのが現実的だと思います。
でも、ここで相手から「それは無理です」と言われても、あなたは「ではいくらなら可能でしょうか」と質問して、相手から情報を聞き出すことができます。

フット・イン・ザ・ドア

ドア・イン・ザ・フェイスと対をなすのが、フット・イン・ザ・ドアです。
訪問販売のセールスマンが、家の玄関のドアに足を入れて、ドアを閉められないようにして営業しようとする…
“セールスマンがドアの隙間に足を入れる”ということから、この言葉がきています。
小さな要求から始めて、少しずつ要求を大きくしていこうとするテクニックです。
1度その小さな要求をのんだ人は、次の要求も断りにくくなる、という人間心理を利用します。

たとえば、街中で見る募金活動。僕は以前こんなことがありました。

(何の募金活動か忘れましたが)「募金をお願いします」というボランティア(アルバイト?)の呼びかけに、僕は立ち止まって小銭を募金箱に入れました。
ボランティアの方は、「ありがとうございます。よろしければこちらの○○に署名をお願いします」と言われました。
僕は「ああ、署名くらいなら…」ということで署名しました。
次にボランティアの方は、「ありがとうございます。署名いただいた方に、いくらかのカンパをお願いしたのですが…」と言われました。
ここまでくると、僕はもう断れません。今さら、「いやいやそんなにお金はないです」とは恥ずかしくて言えなくなりました。
さらに「ケチに思われたくない」という自尊心、虚栄心が働き、たしか小銭をやめ、1000円を募金したような気がします・・・

と、これがフット・イン・ザ・ドアの例です。
このフット・イン・ザ・ドアは、事前にシナリオを立てておくことが大切です。
また、どちらかというと、複数回の交渉にまたがる場合の方が使いやすいと思います。
たとえば、1回目の商品購入では、オプションをつけてもらって、2回目の購入では、前回より多く仕入れるから価格を下げてもらって、…複数回の購入の段階になったら、「もう取引が長くなったから、単価を下げてください」みたいな感じでしょうか。

ドア・イン・ザ・フェイスとフット・イン・ザ・ドア、どちらかの方を使えばいいのかというと、それはケースバイケースですが、初頭要求を大きくするドア・イン・ザ・フェイスの方が使いやすいですし、交渉のその後の流れを作りやすくなるので、この記事では、ドア・イン・ザ・フェイスを行った前提で続けます。

(3)数字、条件は具体的に提示する

たとえば、商品購入などの価格交渉で、ドア・イン・ザ・フェイスで最初の要求を大きく提示します。
そして断られたとします。

そのとき「ではいくらなら可能でしょうか?」と、相手に具体的な数字、条件を聞いてください。
「もう少し上げてください」などのあいまいな表現は避けましょう。
あいまいな表現では、基準が分からないので(先行した数値を基準にするアンカリングの法則が働かないので)、相手は提案する内容に困りますし、一方的な希望を提案されてしまいかねません。

(4)競合をちらつかす

商品、サービスの売買交渉の買う側であれば、他社の商品、サービスを検討していること、迷っていることをに相手ににおわせます。
売買交渉以外にも、たとえば給与交渉であれば、希望が通らなかったら転職を考えているなど、(表現がよくないですが)相手が困ること、相手があなたに「一筋縄ではいかない」と思わせることで、相手の思い通りならないようにします。

(5)時間と労力を使わせる

交渉は複数回にわたって行われるなら、相手に時間と労力、さらにいうとお金を使わせましょう。

たとえばあなたがスーツを買いにお店に行ったとします。
あなたは4時間もねばって30着ほど試着したとします。
そして最後に「5万円じゃなくて4万5千円だったら買えるんだけど」といったとします。
そのとき店員は、値引きに応じてくれる可能性が高まります。
なぜなら店員は、4時間もかけたのに売上が0では、やってられないからです。
(さらに店長から「何やってたんだ」と怒られそうです。)

そう。人は、自分で投資した時間と労力は取り返そうとします。
これを交渉でも使いましょう。
ビジネスの現場なら、相手に企画書や提案書などの書類をたくさん作ってもらったり、サンプルをもらったりと、時間と労力を使ってもらいましょう。
そうすれば、相手はあなたからそれを取り返そうと、あなたの希望になるべく沿おうとしてくれます。

※あなたが注意すべきこと

これ、逆に自分が相手から、そうさせられる可能性もありますので、注意しましょう。
「この人とはないかもな」と思ったら、労力を使いすぎるのはやめましょう。
逆にあなた自身が時間と労力を取り返そうとして、不利な条件を飲んでしまう可能性が高まりますので。
交渉は、過去に使った時間や労力、お金は問題にせず、ゼロベースで考えてください。

大切なのは過去に費やしたものではなく、「今」と「未来」であると認識する
~植田 統 (著)『絶対に負けない交渉術』

交渉にさらに強くなるための3つのピンポイントテクニック

さらに交渉が「強くなる」ためのピンポイントテクニックです。
さらっと覚えておいて、もし使えそうな場面がきたら使ってみてください。
使えそうなら、でよいです。
格闘技で例えるなら、カカト落としを覚えたからといって、無理やり使おうとしないでくださいw
使える場面じゃないのに無理やり使うと、相手につかまってボコボコにされますから。。。

(1)一般論&仮定話

相手からコレといった情報、材料を引き出せていないとき、交渉が平行線になってしまったときにこれを使いましょう。
交渉は、相手から情報を多く得た方が有利に運べます。
その情報を多く引き出すための方法が、一般論&仮定法です。

まずは仮定話から。

「たとえば」あるいは「もしも」という質問を多用することによって、相手の真意がだんだんわかってきます。
~箱田 忠昭 (著)『「できる人」の話し方&交渉・説得術』

たとえば、こんな質問です。
「仮に配送費を弊社で負担したら、価格は下げられますか?」
「たとえばこんな方法でしたら、御社の負担は和らげますでしょうか?」
「もしも5%価格を下げればどうでしょうか?」

このとき、あなたが出す仮定の話は、相手が望む話ではないものでOKです。
人は、間違いを正そうとする生き物です。
相手はその仮定話を正そうとし、自分の要望=真意に近いことを伝えようとします。
ケースによっては、真意そのものを話してくるかもしれません。
これが、仮定話で相手の真意に近付ける理由です。

仮定話はさらにもう一つ効果があります。

「もしも」の質問なのに、この仮定話を「既定の事実」のようにしてしまうことができます。
たとえばあなたが「仮に5%の値引き」と仮定したなら、「5%の値引き」を「既定の事実」としながら交渉を進めることができるようになります。

つぎに一般論をみてみましょう。

一般論とはその名のとおり、たとえば業界の一般論的な話を持ち出して相手の真意を探る方法です。

たとえば、
「この商品は一般的に、いくらくらいするんでしょうか?」
「一般的に、製作期間はどれくらいかかるんでしょうか?」
などの質問です。

「一般的」と前置きすることで、一般的な基準が分かり、相手のモノコトは、その基準値から、どれくらいの差異があるのかという情報を引き出しやすくなります。

この一般論は、あなたにその業界の一般論の知識がなくても使えます。
むしろ、あえて一般論の知識を間違えることで、相手の真意を引き出しやすくなります。

そう。仮定話と一緒です。
「人は、間違いを正そうとする」という習性を利用するのです。
一般論をあえて間違うことで、相手はその間違いを正そうとし、それが結果的に、自分の要望=真意に近いことを伝えようとすることになります。

仮定話・一般論は、「仮に」「もしも」「一般的に」という質問をするだけなので、難しくなく、使うシーンも選ばず、比較的自分のタイミングで行えるので、積極的に使ってみましょう。

(2)消耗法

相手がケンカ腰で、感情的になっている場合に有効な方法です。
このとき、自分も感情的になってケンカ腰になったり、ビビったりしてはいけません。
相手に言いたいことを言わせたいだけ言わせましょう。全部吐き出させましょう。
あなたは、それを冷静に聞いているだけでよいのです。

そのうち、相手は疲れてきて、消耗してきます。
そしてあなたの冷静な態度をみていると、それを不気味に感じたり、「言い過ぎたかな…」と思って反省して冷静になったりするようになります。

僕の交渉の例を話しましょう。
僕は相手のケンカ腰、脅しの態度に、少しビビっていました。
そして相手は頭もよいので、僕の発言の上げ足を取りにこないかとも思っていました。
それで、自分が言葉を発するのに慎重になり過ぎて、結果的にこの消耗法を使っていました。
(このときの僕は、この消耗法のことは知りません。)
すると、相手の感情はどんどんトーンダウンしてきました。
消耗法は、相手がケンカ腰になったら、黙って話を聞けばいいだけですから、簡単に使えます。

(3)見せかけ退陣法

相手が強気で譲歩する気配がないときに、
「これ以上話し合ってもむだですね。もうやめましょう。」
といって部屋を出ていくやり方です。
もちろん本心はやめる気はありません。
相手の気が変わるのを待つ、一種の脅しといってもいいでしょう。
~箱田 忠昭 (著)『「できる人」の話し方&交渉・説得術』

これ、ドラマや映画でもよくあるシーンですよね。
大体、主人公が、「これ以上話し合ってもむだですね。もうやめましょう。」と言う側です。

僕は、これを逆にされたことがあります。
そのとき、相手にこういわれました。

「分かりました。交渉決裂ということで、裁判に訴えます。とことん戦ってあなたをつぶします…」

…完全な脅しですね。。。
僕はこれに飲まれてしまい、びびってしまい、「ちょっと待ってください…」と、ドラマの主人公じゃない方になってしまいました(笑)

後から調べて、人に聞いて、冷静になって考えると、このときの相手は、裁判に訴えられる根拠、材料なんて何もなかったのです。
訴えるからといって、なんでもかんでも裁判所は受理するわけではないのです。
もしそのときの僕に知識があって、冷静であれば、ビビらずに「どうぞ」という感じてサラリとかわせたわけです。
交渉で「準備」「知識」「冷静」がいかに大切か改めて見にしみた出来事でした。

さて、見せかけ退陣法は、相手を譲歩させたいときに使える「脅し」のテクニックともいえますが、この記事で交渉はWin-Winを目指すことを提唱している以上、「脅し」はおすすめしません。

見せかけ退陣法は、「自分が交渉で絶対に譲れない条件」が通りそうにないときに使いましょう。

そして、あなたが見せかけ退陣法が使える条件は、2つあります。

  1. 交渉が決裂してもよいとき
  2. 交渉をいったん中止して、再開できそうなとき

1の「交渉が決裂してもよいとき」は、交渉が決裂しても自分に失うものが何もないとき、決裂してもリカバリーできそうなときですね。
あなたが「これ以上話し合ってもむだですね。もうやめましょう。」と言って、相手が「分かりました」といわれてあなたが困るようでは、話になりません。
相手が交渉決裂を受け入れる可能性があってもよいなら使いましょう。

2の「交渉をいったん中止して、再開できそうなとき」は、再開できるときまで、また作戦を練り直しましょう。

交渉に強くなりたいならコレしてください

以上が、交渉術の応用編となる【戦術と心理テクニック編】です。

交渉に強くなるには、なんでもそうですが、ある程度の経験が必要です。
とはいっても、日々の仕事で「交渉することは滅多にないよ…」と思われるかもしれません。

…これ、逆です。
仕事は、日常生活でさえも、交渉の連続です。

たとえば、
・嫁さん/彼女と、何を食べにいくのか決めるとき
・嫁さんに、欲しいものを買う承諾を得たいとき
・家族旅行でどこに行くのかを決めるとき
・会議の日時を決めるとき
・部下に仕事を依頼するとき
・上司にやりたい仕事の許可を得るとき
etc…

このように、日常で交渉が必要になるシーンはいくらでもあります。
要は、人に何かを頼むときはすべて交渉なのです。
ですので、普段の仕事で、生活で、人と接するときに何も考えないでコミュニケーションを取るのではなく、すべて交渉と考え、

・どうしたら、Win-Winになれるか
・どうしたら、相手に気持ちよく動いてくれるか

を考えながら、人と接するようにしましょう。
これを常に意識していれば、交渉力は徐々に磨かれ、本格的な交渉にも強くなれるでしょう。

もう一つおすすめの方法は、映画やテレビドラマや小説やマンガなどの交渉の場面で、交渉をどう進めているのか、どんなテクニックを使っているのかを意識しながら見ることです。
得に歴史モノは史実にのっとっているので、参考になります。

交渉が必要になったとき、そうでないときも、この記事を読み返していただければ、脳に徐々にインストールされますので、よければお気に入りやブックマークに保存し、読み返していただければ幸いです。

交渉術は、以下の記事も併せてご覧ください。

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『仕事が嫌なら人生は地獄だ。
仕事が‘できる人’になれば、人生は楽園だ』

仕事が嫌になる理由は2つあります。
1つは仕事そのもの。もう1つは人間関係。

この2つを一気に解決する方法は、「仕事ができるようになる」ことです。

仕事ができるようになれば、仕事が楽しくなり、人間関係も解決しやすくなります。
仕事に夢中になれれば、些細なことで悩まなくなります。

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